復刻版・四字熟語辞典

一顰一笑(いっぴんいっしょう)

omenn

ある晩のことだ。
パソコンに向かって仕事をしていた私は
いつの間にか眠りこけていたらしい。

夜中に目が覚めて、顔を洗いに洗面所へ向かった。
なんともなしに鏡を覗いたら
飛び込んできたのは、あまりにもぶちゃいくな自分の顔。

油断していた。
すっかりノーマークだった。
完全の素の状態であった。

周りに人がいなかったことだけが不幸中の幸いである。
確かに顔で売っている役者ではないが
もはや「廃業」という選択肢しか残されていないような気がした。

能の面は実に面白い。
あれほど複雑な表情を見せるアイテムを私は知らない。

厳密には面が変化しているわけではなく
演者の表情がそのまま乗り移ったように錯覚しているだけである。

それでも面には生気が漂い
見るものを向こう側の世界へと導いてくれる。

鏡でぶちゃいくな自分の顔を発見した夜
私の頭には、次の舞台でお面をかぶろうというアイディアが浮かんだ。

ちなみに選んだものは、能面ではなく「仮面ライダー」である。

嘘のような本当の話だ。

(2009年7月15日)

振り返りのコメント
今でも、たまに油断をして鏡を覗いてしまい驚愕することがあります。
ブサイク村に生まれた宿命とはいえ、がっかりしますよ、ほんと。
寝落ちから覚めた直後は、くれぐれも要注意です。


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