復刻版・四字熟語辞典

一心不乱(いっしんふらん)

hasiru

遥か遠い昔の話だ。
身体に焼きついた記憶というものは
身体がきちんと憶えている。

陸上部で長距離の練習をしていたときのこと。
普段なら、走ることが苦しくて苦しくて仕方がない。
だから頭の中は監督の悪口しか出てこなく
時間よ、さっさと過ぎ去ってくれと祈るばかり。

ところが
ごく稀に、頭の中がびっくりするほどクリアーになることがあった。
身体が軽い。
風景を眺める余裕がある。
タイムを正確に刻むことができる。

いわゆるランナーズハイの状態だ。

この時ばかりは鬼監督の顔が菩薩様に見え
指示を一言一句違わず聞くことができ
そしていつまでも走り続けたい衝動に駆られる。
走り終わった後も、疲労を感じることはない。

脳内麻薬が最高潮の瞬間だ。
毎日がこんな状態なら、どれだけ幸せかと思った。

僕は
舞台に立つときはいつだってランナーズハイであるべきだと考える。
ただ、麻薬は切れた時の反動が恐ろしいんですけどね。

(2009年7月21日)

振り返りのコメント
今でも執筆とかしていると、時々ランナーズハイになる時があります。
この時ばかりは、俺って天才かもと思うんだけど
翌朝、読み返して、ものすごくがっかりすることの方が多いです。


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