オンガク

柴咲コウ – 影

僕という地点の中に、君たちは突然やって来る。
僕の中で、羽を休め、息づき、しばし立ち止まるため。

けれど僕は知っている。
暖を取り、食料を補給し、情報を交換した後
君たちがまた羽を広げ飛び立っていくことを。

だから僕は、君たちがこの地点にいる間
退屈しないよう、果物を摘み、紅茶を淹れ、時に歌い、時に踊る。

やがて君たちが飛び去っていくその日
僕は少しだけ早起きをして、窓を開け、朝の空気を取り込む。
君たちの身体を、新しい風が包みこむように。

君たちの後ろ姿を見送って
この日だけは、少し濃いコーヒーを飲む。
ほろ苦い味が、喉元を通過する。

こうして幾人もの人が、僕という地点を通り過ぎていく。
かすめるだけの人がいれば、深い跡を残す人もいる。
時々便りをくれる人もいるし、永遠に歳を取らない人もいる。

君たちの存在は、僕を子どもにしてしまう。
空が暮れ、陽が沈むまで、僕は無邪気に遊ぶだろう。

しかし無垢であることは、時に暴力になるかもしれない。
意図せず君たちを傷つけることになるかもしれない。
本当は、僕という地点にやってこない方がよかったのかもしれない。

それでも僕は君たちを待っている。
土を耕し、種を蒔き、水をやり、収穫の時を待っている。

僕はどこへも行かない。
ずっとここにいる。

そして待っている。
君たちを待っている。

君を、待っている。

歌詞はこちらから。


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