シナリオ

ミニシナリオ「世界に一つだけの花」

#1216テーマ「たたかう」

タイトル「世界に一つだけの花」

登場人物
・里見新太郎(42)…高校の非常勤教師
・里見智恵子(39)…新太郎の後妻
・里見耕太郎(16)…定時制高校の一年生
・森脇明日香(18)…新太郎の教え子
・森脇さくら(45)…明日香の母親

○ 青汁取扱い専門店「ぶらじる」・外
  細い路地の突き当たりに、青汁を専門に扱う「ぶらじる」というこじんまりとした店がある。
  昭和の駄菓子屋のようなたたずまい。
  店の外にはベンチが置いてあり、今現在そこには煙草をふかしながら、森脇さくら(45)が座っている。
  その脇に立たされている里見智恵子(39)。
  ピリピリした緊張感を、二階の物干し場から見つめる、里見耕太郎(16)。

さくら「だから、娘を返しなさいって言ってるの!」
智恵子「本当に知らないんです」
さくら「そうやって、とぼけてとぼけて、とぼけたおせば、私があきらめると思って」
智恵子「あきらめるとか……」
さくら「三日だよ、三日! 蝉の人生で例えたら、折り返し地点だよ。ねえ、分かる?」
智恵子「はい……」
さくら「ウソ、ウソ。あんた、何にも分かってない」

  さくら、カバンの中からしわくちゃになった封筒を取り出す。

さくら「ほら、見なさいよ。ちゃんと見て。ここに『新太郎先生へ』って書いてあるよね」
智恵子「それは、もう、何度も……」
さくら「新太郎先生って、あんたの旦那だろ」
智恵子「はい……」
さくら「どこに行っちゃったのかなあ、その旦那は」
智恵子「ですから、ケールの買い付けに」
さくら「聞いたよ。それ、耳にタコ」
智恵子「だったら……」
さくら「だったら? だったら、なに? ほら、続き言ってみなさいよ」
智恵子「あの……手元に封筒があるっていうことは、その手紙、出していないんじゃないでしょうか」
さくら「書き直したに決まってるだろうが! え? 三日考えて、出てきた答えがそれ? ちょっとちょっと、もう少しまともな言い訳できないの?」
智恵子「すいません」
さくら「誰が謝れって言った! 娘を返せって言ってるんだよ。こっちは」
智恵子「ないです。主人に限って、駆け落ちとか、それはないです」
さくら「じゃあ、どうして連絡がつかない? あんた心配じゃないの?」
智恵子「もちろん、心配してます」
さくら「だいたい、高校教師がケールの買い付けって、おかしいだろうが」
智恵子「非常勤なんで」
さくら「は?」
智恵子「限りなくアルバイトに近いんで」
さくら「バイト感覚で教師やるな!」
智恵子「すいません。でも、すき焼きですから」
さくら「すき焼き?」
智恵子「今夜は、すき焼きなんです。肉入ってます。牛肉です。霜降りの」
さくら「霜降りが、どした?」
智恵子「だから、きっと今夜主人は帰ってきます!」
さくら「……」
智恵子「……」
さくら「……ねえ、唇焼いてもいい?」

  さくら、立ち上がり煙草の火を近づける。

智恵子「ダメですよ」
さくら「(舌打ち)」

  さくら、煙草を投げ捨てる。
  そのまま、店内に押し入ろうとする。

智恵子「(慌てて引き留めて)ど、どこへ行くんですか」
さくら「証拠を探すんだよ」

  二人、もみ合いになる。
  その姿を見た耕太郎、慌てて引っ込む。

智恵子「それは、ちょっと、困ります」
さくら「いいから、部屋の中、見せなさいよ」
智恵子「ダメです」
さくら「隠してるものがあるんだろ」
智恵子「ないです」
さくら「離せ」
智恵子「部外者はダメなんです」
さくら「この期に及んで、部外者だあ?」
智恵子「ダメなものは……耕ちゃ~ん、いる? 耕ちゃ~ん」

  耕太郎、颯爽と現れて二人を引き離しにかかるが、まったく止められない。
  逆に、さくらに突き飛ばされて派手に転ぶ。
  智恵子とさくら、ようやく離れる。

智恵子「警察、警察呼びますよ」
さくら「呼んだらいいじゃない。どっちが正しいか、はっきりさせようじゃない」
耕太郎「(しりもちをついたまま)僕は、僕は恫喝なんかに屈しないぞ」
さくら「……お前は誰だ?」
耕太郎「(立ち上がりながら)恫喝に対抗する力を見せてやる」
さくら「ほー、見せてみろ。やってみろ」
耕太郎「(歌い出す)世界に一つだけの花。ひとりひとり、違う種を持つ」
さくら「……」
耕太郎「(かけていた眼鏡を外しながら)その花を咲かせることだけに……」

  さくら、手元に転がっていた石を拾い、店のガラス戸に投げつける。

続く(かもしれない)


4 Comments

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    えとですね、本音で辛口評価をしますですよ。。(>_<)
    私が思うには、この前のお葬式のドラマの方が良かったかなあ。。
    あと、「蝉の人生で例えたら・・」、このセリフはですね・・
    もっと違う性格の人が言う方が良いような気がいます。。 
    さくらさんのボケ方は心地良く、良いリズム感で頭に入ります。 
    この方の次の動向が気になりますね(*^_^*)
    ごめんなさい・・ 何も分かっていないのに、出しゃばったことを書いてしまいました。
    続き楽しみにしています。 頑張って書いて下さいね~☆

  2. SECRET: 0
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    >もも(リコ)さん
    こんばんは。
    ふむふむ、なるほどですね。
    確かに、今回は(も?)突っ込みどころ満載ですな(^^ゞ
    貴重なご意見、ありがとうございます!
    もっともっと精進しまっす!!

  3. SECRET: 0
    PASS:
    ごめんなさい。。
    さくらさんではなくて、智恵子さんのボケ方が心地良い・・でした。(笑) 
    名前を間違えましたあ☆
    失礼つかまつりましたです。。(>_<)

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